キャットフードの合成着色料とは?発がん性や遺伝毒性、猫への危険性を解説

キャットフードの合成着色料が猫に与える影響

合成着色料とは

市販のキャットフードの中には商品の見た目を良くするために、着色料が使われているものがあります。

着色料は天然由来の「天然着色料」と、化学由来の「合成着色料」に分かれています

合成着色料は人工的に作られた着色料で、青色1号、赤色102号など石油やタールから合成される「食用タール系色素」が一般的です。

日本国外では禁止されている着色料も国内では使用可能

基本的には日本政府によって使用許可の出ている安全な食用着色料ですが、日本では国外で禁止されている合成着色料が許可されているものもあります

その中には発がん性や遺伝毒性があるもの、アレルギーを誘発すると言われている着色料があります。

日本国内で使用許可のある合成着色料(指定添加物リスト)

一部の国では使用禁止になっているものや自主規制対象となっている種類があります。欧州では赤色40号、赤色102号、黄色4号、黄色5号は自主規制対象となっています。

キャットフードに使われている主な合成着色料

通称(成分名)危険性・悪影響備考
青色1号
(ブリリアントブルーFCF)
・神経行動パラメータに悪影響を及ぼすベルギー・フランス・ドイツ・オーストラリアでは使用禁止
青色2号
(インジゴカルミン)
・成長遅延
・生殖毒性
39カ国が使用を許可
赤色2号
(アマランス)
・子世代の行動発達抑制、嗅覚発達に影響アメリカ、タイ、台湾などでは使用禁止
赤色3号
(エリスロシン)
・甲状腺機能に影響
・甲状腺腫瘍発生率上昇
・遺伝毒性
・変異原性
ドイツやポーランドでは使用禁止
赤色40号
(アルラレッドAC)
・腸疾患や大腸炎を誘発
・多動性障害(ADHD)を引き起こす
欧州では自主規制
赤色102号
(ニューコクシン)
・結腸や腺胃、膀胱などにDNA損傷
・赤血球の減少、食欲の減退により、心臓や肝臓が体重と比較して重くなった
欧州では自主規制
カナダやベルギー、韓国、アメリカなどで禁止
赤色103号
(エオシン)
・1971年から食品添加物として日本国内で使用禁止
赤色104号
(フロキシン)
赤色105号
(ローズベンガル)
赤色106号
(アシッドレッド)
発がん性はないと結論づけられた日本以外のほとんどの国で食品への使用が禁止
黄色4号
(タートラジン)
・喘息、じんましん、血管性浮腫、アレルギー反応の誘発性や不耐症などが危惧欧州では自主規制
複数の国で食品への添加が禁止
黄色5号
(サンセットイエローFCF)
・反復投与毒性で成長遅延や体重減少、下痢欧州では自主規制
緑色3号
(ファストグリーンFCF)
ペットフードではあまり使用されていない
二酸化チタン・IARCの発がん性評価でステージ2Bに分類、発がん性がある白色着色料
フランスでは二酸化チタンを含む食品を禁止
β-カロテンオレンジ色
カンタキサンチン
三二酸化鉄
カラメル色素
(褐色)※
・カラメル色素4種類のうち、Ⅰ以外のⅡ~ⅣはIARCの発がん性評価でステージ2Bに分類、発がん性がある※既存添加物

赤色2号(アマランス)

赤色2号は食品添加物の中で最も使用の多い赤色色素のひとつで「アマランス」と言われる合成着色料になります。アマランスは穀類のアマランサスと混合されがちですが、別物なので注意。発がん性や急性毒性などは確認されていませんが、子世代における行動発達の抑制、嗅覚発達への影響が問題視されています。

アメリカ、タイ、台湾などでは使用が禁止されています。

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赤色3号(エリスロシン)

赤色3号はかまぼこやケチャップ、ピスタチオの殻の着色などに使用される合成着色料です。日本ではエリスロマイシンという抗菌薬が「エリスロシン」という商品名で販売されていますが、赤色着色料のエリスロシンとは全く別物です。

遺伝毒性と変異原性が示され、染色体異常の誘発性やDNA構造に損傷を与える可能性があると報告されています。また、赤色3号の投与によって甲状腺機能へ影響を与え、甲状腺機能亢進症や甲状腺腫瘍発生率の上昇、甲状腺過形成による重量増加などが報告されています。

ドイツやポーランドなどの一部の国では使用が禁止されています。

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2023年5月30日

赤色102号(ニューコクシン)

赤色102号は最も使用量の多い赤色色素で別名「ニューコクシン」と言われる合成着色料です。遺伝毒性の調査により結腸や腺胃、膀胱などにDNA損傷が確認されています。また、マウスでの実験では赤血球の減少、食欲の減退により、心臓や肝臓が体重と比較して重くなったとの報告もあります。

アメリカやカナダ、ベルギー、韓国など一部の国では使用が禁止されています。

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2023年1月11日

赤色103号(エオシン)

赤色103号はエオシンという赤紫っぽい蛍光色素を付ける合成着色料で、日本国内では1971年から食品添加物として使用が禁止されている合成着色料です。基本的にキャットフードは食品添加物のリストから選択されることが多いですが、食品ではないので食品添加物ではない着色料の使用も稀に見られます。

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キャットフードの赤色103号(エオシン)1971年から食品へ使用禁止。安全性データなし

2023年4月10日

赤色106号(アシッドレッド)

赤色106号はアシッドレッドと言われる赤色の合成着色料です。長期的な摂取による体への悪影響が心配されており、日本以外の国では食品への使用が禁止されています。

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キャットフードの赤色106号(アシッドレッド)。発がん性や危険性は?日本以外は食品使用が禁止

2023年1月25日

赤色40号(アルラレッドAC)

赤色40号はアルラレッドACという赤色の合成着色料で、日本や米国では食品添加物や飼料添加物として使用が認められていますが、欧州では自主規制対象となっています。

長期接種で大腸疾患の誘発性や指摘され、消化や免疫への影響も懸念されています。

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2023年2月21日

黄色4号(タートラジン)

黄色4号はタートラジンと言われる黄色の合成着色料です。レモンイエローなどと呼ばれる鮮やかなビタミンカラーを付けることができます。

喘息、じんましん、血管性浮腫、アレルギー反応の誘発性や不耐症などが危惧されていて、複数の国で食品への添加が禁止されています。

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2023年2月15日

黄色5号(サンセットイエローFCF)

黄色5号はサンセットイエローFCFと言われる橙色の合成着色料です。オレンジ色が着色できることから、茶色っぽい色のイメージが強いキャットフードでは比較的よく見られます。

ただ反復投与毒性では成長遅延や体重減少、下痢などが報告され、体重減少などの毒性も確認されています。

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2023年2月28日

青色1号(ブリリアントブルーFCF)

青色1号はかき氷のブルーハワイなどの色付けに使用されている青色の合成着色料で、ブリリアントブルーFCFと言われます。青色一号はベルギー・フランス・ドイツ・オーストラリアなどでは使用が禁止され、神経行動パラメータに悪影響を及ぼすと報告されています。

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2023年3月13日

青色2号(インジゴカルミン)

青色2号は、インジゴカルミンと呼ばれる青色の合成着色料で、熱や光に弱いという特徴があるため加熱加工や長期保存が基本のキャットフードではあまり使用されていません。オスのマウスの精巣への生殖毒性や、軽度の貧血などが確認されています。

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2023年3月27日

二酸化チタン(白色)

二酸化チタンは白色に着色するために使用される合成着色料。国際がん研究機関(IARC)で発がん性の可能性があるステージ2Bに分類されています。

ウェットフードやクリーム状によく使用されますが、フランスでは二酸化チタンを含む食品を禁止しています。

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2020年7月28日

カラメル色素(褐色)※

カラメル色素はⅠ~Ⅳまで種類があり、登録されているのは指定添加物ではなく既存添加物ですが、Ⅰ以外のⅡ~Ⅳは発がん性があると言われています。、国際がん研究機関(IARC)でもステージ2Bに分類されています。Ⅰは純粋な天然由来のみの原材料で生成されていますが、Ⅰのカラメル色素は製造コストが高いため、使用されているほとんどのカラメル色素はⅡ、Ⅲ、Ⅳのいずれかと言われています。

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2022年11月30日

合成着色料を摂り続けることによる影響

前述した合成着色料が含まれるキャットフードを摂取することによって、猫の健康にすぐに影響が出るかと言われれば、それはNOだと思います。

しかし合成着色料を長年摂り続けることは、猫の健康にとって、プラスに働くことはありません。逆に、ガンやアレルギーのリスクを高めるマイナス面しかないので、愛猫の健康を気遣うのであれば、合成着色料をしていないキャットフードを与えてあげましょう。

猫はキャットフードを色で判断することはほぼなく、臭いで判断するので、キャットフードの色は飼い主が判断するためだけに使われていると理解しておきましょう。

まとめ

  • 即効で健康に影響が出るわけではない
  • 長年の摂取で発がん性や遺伝毒性、アレルギーなどの危険性がある
  • 猫にとって着色料はそこまで意味がない

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2016年8月26日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。