キャットフードのビートパルプの役割とは?食物繊維としてのメリット・デメリット

キャットフードのビートパルプの役割とは?食物繊維としてのメリット・デメリット

ビートパルプとは

ビートパルプとは砂糖の主原材となる甜菜(てんさい)から砂糖を抽出した後に残る搾りかす(天然の食物繊維)のことで、主に乳牛など家畜用の餌として使用されています。

食物繊維として高機能な食材だった

余りいいイメージのないビートパルプですが、食物繊維として非常に有能な一面もあります。

食物繊維としての役割

このビートパルプは食物繊維として腸内の働きを活性化させ、便通をよくする特徴があります。

可消化エネルギーが豊富

食物繊維には分解できるものから微生物ですら分解できないものまで幅があることは一般の方には余り知られていません。

  1. ペクチン
  2. グアガム
  3. 大豆繊維
  4. ビートパルプ
  5. 大豆の殻
  6. セルロース

これらは全て食物繊維と言われるものですが、大きな違いは消化性です。ペクチンは海藻などに多く含まれ、発酵が早く、微生物や粘膜上皮細胞にエネルギーを供給できる食物繊維です。反対にセルロースは微生物すらも分解することができず、腸内洗浄を行って排出される役割を主に担っています。

ビートパルプはちょうど真ん中位の素材であります。厳密にはビートパルプにはペクチンやセルロースが含まれています。それらのバランスがちょうど真ん中くらいの効果を生み出しています。

腸の負担は抑えて腸内環境の改善

このように微生物の住処にもなるビートパルプは消化できないセルロース単品よりも腸の負担を抑えつつ、腸内のカスをさらって体外に出す役割を担います。

長毛種の毛玉ケアには食物繊維は必須で、様々な食物繊維が使われますが、最も多く使われているものがビートパルプです。

コストが安い

ビートパルプは非常に安価で満腹感も刺激できるため、多めに配合することでコストの高い肉原料などを減らすことでコスト減の原材料としても使われます。

どれだけいいものであってもコストが高ければ、ペットフードに使用することができません。現在では人間よりも高価な原材料を使うこともありますが、そうしたキャットフードを購入する方はごく一部で、一般的にペットフードを与える方たちはあまりにも高いキャットフードは購入しません。

ビートパルプはそのコストの安さも魅力のひとつです。いいことではありませんが、一般にかさ増しという言葉を使われることもあります。

満腹感を刺激

ビートパルプは水分を含むと膨らむ性質があるため、満腹感を刺激するためにも使われます。

ビートパルプのマイナス面

ビートパルプにもマイナス面があります。大きなマイナス面はありませんが、気になる部分はあると思いますのでしっかり勉強していきましょう。

食物繊維としてはジャガイモなどでも代用が可能

食物繊維はジャガイモやさつまいも、エンドウ豆などで代用が可能です。

ただし、肉原料を第一原料にしたい場合、ジャガイモなどを増やしすぎると逆転してしまう場合があったり、食物繊維以外の成分のバランスが取れなくなることがあります。

このため、簡単に代用が可能ですとは言えませんが、キャットフードとして目指す方向によっては、ビートパルプ以外のもので代用していくことが可能です。

ただし毛玉対応キャットフードほどの配合量の代替は難しい

ただし毛玉対応キャットフードのように、食物繊維を10%配合したいという場合にはエンドウ豆やじゃがいもでビートパルプやセルロースの代用をするのは難しいと思います。

野菜で食物繊維10%を確保するには相当の量を配合しなくてはならず、肉原料などとのバランスが悪いキャットフードになってしまいます。

ビートパルプ内に残った糖分の栄養素

ビートパルプは甜菜から砂糖を取り出した絞りカスなので、糖分(上白糖)が残っている場合があります

この上白糖は砂糖をそのまま原料に入れているようなものなので、これが猫によくないとされる考え方もあります。

糖分の抽出方法が薬剤を使う場合の残った薬品

甜菜から糖分を絞り出す際に、圧力で絞り出す以外に薬品を使って取り出す場合があります。

この絞るための薬品が絞りカスに残って猫が摂取し、悪影響を及ぼすという考えもあります。

ビートパルプ製造国で栄養素が全く違う

ビートパルプがどういうものかということは考えたことがある人も多いと思いますが、ビートパルプの製造国を考えた人は少ないと思います。

ビートパルプが絞りカスとはいえ、ビートパルプを製造している国があります。日本甜菜製糖株式会社の紹介による実験結果では日本産、アメリカ産、中国産のビートパルプでは栄養素がまるで違うことも確認されています。

各国でビートパルプの栄養分が全く違い、国産のビートパルプが最も消化率が高く、栄養価も高いので、ここまで熟読し、原材料を気にしている方々にとって、果たして同じものとして考えてもいいのかという問題まで出てきます。

ビートファイバーは手間をかけて精製された別物

ビートパルプと名前が似ているので同じもののように考えられがちですが、ビートファイバーはビートパルプを薬品を使わずに食物繊維のみに精製した天然食品材料です。

ヨーロッパと日本で研究・開発されたもので、ただの絞りカスとは一線を画したものです。

人間用では食物繊維としてサプリにもなっている位なので、その分価格も高価でなかなかキャットフードに使われることはありませんが、時々配合されていますので確認してみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

アバター画像

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。